MITSUYA NOTE

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MKSAPから学ぶ腹水

<疫学>

・腹水がある患者のうち、85% は肝硬変が原因である。
・肝硬変と診断された後10年以内に50%以上の患者が腹水貯留を認める。(非代償性肝硬変への移行)

<病態>

・滲出性の場合 肝臓の線維化→門脈圧亢進
 1.静水圧が上昇し、血管内ではなくリンパ管へ細胞外液が流れる
 2.腸管浮腫で腸内細菌菌血症発生→血管内皮からNO産生増加→末梢血管拡張
 →有効循環血症量低下→RAA系過亢進
 

<治療において>

・まずは減塩食(Na<2g/day、食塩換算で5g/dL)を開始する。
・中等度以上の腹水貯留を認めた場合は、★利尿薬(★フロセミド、★スピノラクトン)を使用する。有効性はスピノラクトン>フロセミ
 
・肝硬変がある患者の場合、★ACE阻害薬や★ARB、★NSAIDsは使用しないことが望ましい。
★ACE阻害薬、★ARB・・・RAA過亢進により血圧を保っている状況で同薬剤を使用すると、低血圧を引き起こしやすい。
            また、糸球体濾過量を減少させるため、難治性腹水が増悪しやすい。
★NSAIDs・・・腎機能低下を引き起こすと尿量が減少?し、腹水を増悪させる。
★β blocker・・・肝硬変患者の静脈瘤出血イベントは減少させるが、難治性腹水を増悪させる。
 
 降圧薬が腹水の増悪に関わるとは知らず、何人か私も出し続けていました...
 RAA系の生理学を考えるとあまりしっくりこない感じはあり、もしご存じの方いれば教えてください!
【参考文献】
肝臓内科レター 麻生飯塚病院
In patients with cirrhosis with ascites, the clinical risks of nonselective beta‐blocker outweigh the benefits and should NOT be prescribe